長崎出島がもたらした
日本の食の近代化
古くより、食肉の習慣がなかった日本ですが、鎖国時代、海外と唯一交流を持つ出島では少し事情が異なっていたようです。
出島オランダ商館に住むオランダ人とって肉は当たり前の食事でした。それは、奉行から日本の牛を食べることを禁止されても、輸入してまで食べるほど。また、毎年西暦の1月1日には出島出入の役人を招いて西洋料理でもてなすのですが、そのメニューの中にも牛の字が見えます。
お客に呼ばれた役人たちは、それをお土産として持ち帰り、家人たちに食べさせていたのでしょう。
現代のように肉を食べることが日常になる前、出島とその周辺には、食肉のコミュニティが形成されつつあったのかもしれません。
上:円山応挙「長崎港之図」
右:川原慶賀「唐蘭館絵巻、蘭館図、宴会図」「唐蘭館絵巻、蘭館図、動物園図」
画像提供:長崎歴史文化博物館